認知症とお金の問題
親の介護の現実と財産管理の方法

  1. 認知症とお金の問題:親の介護の現実と財産管理の方法
不整脈で緊急入院した父
不整脈で緊急入院した父

「まさか自分の親が認知症?」誰でも思うことです。

私の父は83歳、母は80歳。
96歳になる叔母は、認知症を患って10年以上施設で暮らしていましたが今年(2024年)に亡くなりました。
遠く離れて暮らす高齢の親や親族の、認知症とお金の問題に直面して日々奮闘しているところです。

認知症は老化による物忘れとは違い、徐々に症状が悪化していく病気です。
脳の病気や障害によって記憶力や判断力が低下するため、浪費や詐欺などの金銭トラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。
そのため、金融機関は口座を凍結して顧客の財産を守ります。

認知症やお金の心配も、正しい知識と準備があれば、穏やかな生活を送ることは可能です。
ぜひこの記事を参考に、認知症とお金の問題に立ち向かうための準備を進めてください。

ひとりでできることには限界があります。
そんなときは、専門家を頼ってください。
あなたの抱えている問題を減らすこと、これが私の仕事です。

認知症は「治療」も「お金の対策」も早期に始めることが重要

認知症は、家族でも気づくのが難しい病気です。
年に数回の面会、電話だけでは、親のちょっとした異変はなかなか分かりません。
久々に実家に戻り、家の異臭、放置されたゴミ、冷蔵庫の中の様子を見て、ようやく異変に気づくことがあります。

また、判断力や記憶力といったお金を扱うために必要な能力が低下してしまい、お金の管理が難しくなります。
病状が進行すると、身の回りのことができなくなり、日常生活に支障をきたすようになるため、「認知症は日常生活を奪っていく病気」とも言えます。

認知症は、大きく分けて「前兆」「初期」「中期」「末期」の4段階に分けられます。
※進行速度や症状の出方に個人差はあります。

  • 以前よりも物忘れが増えたと感じる
  • 同じことを何度も聞いたり、言ったりする
  • 置き忘れや、しまい忘れが増える
  • 時間や場所がわからなくなることがある

この段階では、日常生活に大きな支障はありません。

  • 記憶障害が顕著になり、新しいことが覚えられない
  • 言葉が出てこなかったり、理解しにくくなる
  • 時間や場所がわからなくなることが増える
  • 人柄が変わり、怒りっぽくなったり、不安になったりする

初期では、日常生活に支障が出始め、周囲のサポートが必要になります。

  • 記憶障害がさらに悪化し、自分の住所や電話番号もわからなくなる
  • 言葉がほとんど話せなくなり、理解も困難になる
  • 徘徊や、昼夜逆転などの行動異常が現れる
  • 自分で食事や排泄ができなくなる

中期では、常に誰かの介護が必要になります。

  • 寝たきり状態になり、反応がなくなる
  • 嚥下(飲み込み)機能が低下し、誤嚥性肺炎のリスクが高まる
  • 自分で排泄ができなくなる

末期では、医療や介護のサポートが不可欠です。

認知症は早期に発見し、適切な治療やケアを開始することで、症状の進行を遅らせることができます
そして、認知症とお金の問題を解決するには、早めに対策を講じることで選択肢が広がります。

まずは専門医による詳しい検査を受けて診断を確定すること、情報収集を行って様々な選択肢を知ることが大切です。
そして、あなたにとって最適な方法を選び、安心して生活できる環境を整えましょう。

認知症の親と介護の現実

遠方に住む親の介護・
きょうだい間の介護格差

親が認知症になるということは、親の介護がスタートするということです。
親が遠くに住んでいる場合、誰が中心となって介護をするのか、きょうだい間でよく話し合う必要があります。

家族のサポートが得られない場合は公的な介護保険制度を利用して介護することもできますが、介護保険サービスの手続きはいくつかのステップがあり、それぞれに時間がかかる場合があります。

そして、介護の負担が偏ったり協力が得られなかったりすると、遺産相続の時に大きな争いが勃発する可能性が高くなります。

親の介護と仕事・家庭の両立

親の介護は、仕事に影響する可能性が高いということを想定しなくてはいけません。
月に1日であれば仕事を休めても、現役世代にとって1週間休むのは難しいでしょう。

また、自分の子供が受験や育児で忙しい時期に親の介護が重なると、ダブルケア(親と子の同時ケア)になることもあります。

介護者の心身への負担

親の介護に向き合うときに、自分の体調が万全とは限りません。
親の介護を担う世代は、自身も健康上の問題を抱えていることが多く、介護と自身の体調管理の両立に悩むケースが少なくありません。

それに加え、親の暴言・徘徊・失禁などが多くなると、さらに心身ともに疲弊してしまいます。

介護費用の問題

認知症になると、介護だけでなくお金の問題も出てきます。

具体的には、

  • 医療費や介護費用をどこから出す
  • 親がどれくらい財産を持っているか分からない
  • 介護施設の費用や総額がいくらかかるか分からない
  • 相続税が払えるか心配

といった悩みが出てくるでしょう。

私が8年間で1,500人以上の方と面談する中で、お金のトラブルが増え続けていることを実感しています。
特に高齢化が進む現代において、認知症とお金に関する問題は深刻化しており、


問題が複雑化して解決の難易度が上がるケースが増えています。

認知症とお金の問題は、大きく4つに分類することができます。

親の財産管理能力が低下する

  • 無駄遣いを止められない
  • 銀行預金を引き出せない、定期預金を解約できない
  • 不動産を売却・賃貸できない、契約を更新できない

親のお金の安全性が低下する

  • 詐欺の被害に遭いやすい(SNS詐欺、訪問詐欺など)
  • 金融関係・不動産・保険担当者の営業攻勢を受けて断れない、正しい判断ができない
  • 同居する子供に着服される

有効な選択肢が狭くなる

  • 遺言書が書けないため、相続時に争いが生じる
  • 節税対策ができないため、想定以上の相続税が発生する可能性がある
  • 贈与ができなくなります。孫への教育資金贈与などができなくなる
  • 老後資金確保のための収益不動産を購入できない

親のための立替負担が始まり、



兄弟間の「介護負担格差」が拡大する

  • 仕事を休職・退職して介護が必要になり、介護費用や生活費を負担しなければならなくなる
  • 親の介護に時間を取られることで、自分の配偶者や子供に時間とお金をかけられなくなる
  • 介護をめぐって子供間の関係が悪化し、相続争いに発展するリスクが高まる

生前にできる!
物忘れが多くなった


親の財産管理方法

物忘れが多くなった親の生前の財産管理には、


大きく分けて4つの方法があります。

費用がかからず、
家族ですぐにできる方法

家族が親の銀行口座の暗証番号を聞いて、少しずつATMで引き下ろし、家族で財産管理をする方法。

これは家族ですぐできる対策ですが、認知症を発症したことが金融機関に伝わると口座を凍結されるため、永久的に活用できる方法ではありません。
また、家族内で信頼関係がないと、勝手に使われたなどのあらぬ疑いをかけられることになります。

金融機関に依頼する方法

金融機関に代理人を登録して、口座名義人が来店できなくなった場合に本人に代わって各種手続きができるようにする制度です。

代理人専用のキャッシュカードがあればATMで入出金できますが、不正に預金を引き出されるリスクもあります。

ご高齢の方が安心して暮らせるよう、日常生活の様々な場面をサポートする公的なサービスです。

お金や書類の管理、身の回りの整理整頓など日常生活に必要な支援や、専門家による相談や助言も受けられます。

サービス内容や利用できる事業者は地域によって異なり、希望するサービスが受けられない場合があります

精神上の障害を持った人のために後見人が代理で財産管理と身上保護を行う制度です。
判断能力がある元気な方は利用できない制度です。

成年後見制度は、元気なうちに後見人を予約しておく任意後見制度と、判断能力がなくなった後に家庭裁判所に選任してもらう法定後見制度の二つあります。

任意後見は、判断能力があるうちに、将来後見人となる人と契約を結びます。
後見人の権限や報酬などを自由に決められるメリットがあります。

法定後見は、判断能力が低下した後に、4親等以内の家族が申し立てをして家庭裁判所が後見人を選任します。
判断能力に応じてサービスを選べる設計になっています。「後見」、「保佐」、「補助」と三段階あります。

申し立ての手続きは比較的簡単ですが、後見人が家族が立候補しても弁護士や司法書士になる可能性もあります。
後見人の選定や権限に本人の意向が反映されない場合があります。

認知症などで判断能力が低下して、ご自身で財産管理が難しくなった場合に備え、


信頼できる家族に財産の管理や処分を任せることができる制度です。

遺言では実現できない柔軟な財産の承継が可能で、適切な節税対策を行うことができます。

法定後見制度とは

法定後見制度は、家庭裁判所が選んだ弁護士や司法書士などが後見人となることが近年多く、ご本人に代わって財産を管理します。

メリットは、公的な制度なので安心感があること。

デメリットは、財産額に応じて毎月後見人支払う報酬費用がかかり、後見人の選定や監督にご家族が関与できないことです。

家族信託とは

家族信託は、信頼できるご家族に財産を託し、ご本人のために管理してもらいます。

メリットは、信託する財産の種類も財産額も選択でき、柔軟な財産管理ができ、ご家族の意向を反映しやすいこと。

デメリットは、制度の認知度が低く、家族信託に精通している専門家のサポートが必要な場合があります。また金融庁や家庭裁判所のように強力な監督機能がないことです。

認知症と診断されても、家族信託ができる場合があります

医師による認知症の診断は、必ずしも判断能力の完全な喪失を意味するものではありません

法定後見制度では、後見・保佐・補助の三段階で判断能力のレベルを分けており、医師がその判断を行います。
軽度の認知症の場合、「すべての方が後見レベル(判断能力が全くない状態)」ということは、現実的にはありません。
中等度以上の認知症の場合に「後見レベル」と判断されるケースが多いと考えられます。

認知症と診断された場合でも、日常生活に支障が出始めている、つまり脳の判断能力が低下しているというだけで、全ての法律行為ができなくなるわけではありません。
また、医師から認知症と診断されていないからといって、必ずしも家族信託ができるとは限りません。

31都道府県、67カ所の公証役場で信託契約を締結

最終的には、公証役場で公証人が個別の状況を考慮して判断します。
個々の公証人の知識や経験、解釈によって判断に差が生じること、地域によって慣習や過去の事例などが異なる場合もあり、それが判断基準に影響を与えることもあります。

31都道府県、67カ所※の公証役場で信託契約を締結した私の経験では、軽度の認知症の方であれば、家族信託の手続きができたケースも多くあります(※2024年7月9日現在)。

横手彰太:認知症初期もできる・未来を見据えた家族信託コンサルタント
横手彰太

大事なのは「何かをしないといけない」と気づくこと

これまでの私の経験とノウハウを活かして、あなたとご家族の将来設計をお手伝いします。
まずは何をすればいいのか考え、一緒に解決策を見つけましょう。

\ お問い合わせもこちらから/

  • 親子それぞれ1回ずつ、計2回まで無料でご相談いただけます。
  • オンライン相談に加え、ご希望に応じて出張相談も承ります。
    (交通費は別途ご負担いただきます)

私は、認知症の疑いがある方、診断された方、施設入居中の方など、多くの方と接してきました。
その中で、認知症であっても家族信託ができる方・できない方の判断が、自分の中で分かるようになりました

認知症には200種類以上のタイプがあり、判断能力の低下も人それぞれです。
「認知症だからできない」と、安易に決めつけるべきではありません。

認知症は進行性の病気であり、急速に進むケースもあります。
進行を遅らせる、あるいは症状を改善できる可能性もあります。
「手遅れ」と諦める前に、できる限りの対策を講じることが大切です。

法定後見は、判断能力が低下した際の最後の手段です。
この制度は国による管理下に置かれることを意味し、誰が後見人になるかはわかりません。

家族で親を支えたいと願う方々にとって、法定後見は避けたい選択肢です。
だからこそ、認知症初期の段階から、家族信託など、他の選択肢を検討し、準備を進めることが重要です。

同じように高齢の親を持つ者として、家族で親の面倒を見て最期を迎えたいと思っています。
認知症初期でも諦めないでください。私も諦めません。

  1. 認知症軽度にも対応可能、他社で断られても相談できる
  2. 横手100%専任、家族信託に精通した弁護士・司法書士・税理士と連携
  3. 自身も家族信託の体験者。気持ちに寄り添い、親子の想いを代弁できる
  4. 全国どこへでもお伺いします!海外からもオンラインで対応可能
  5. 家族間の情報の不一致を解消し、生前の財産管理から相続までワンストップ対応
  6. シンプルな設計、小さな努力で、大きな成果がモットー
  7. 遺言・任意後見・保険・不動産など、家族信託以外の解決方法も熟知
  • 豊富な相談実績
    国内外から家族信託のご相談1,000人以上
  • 確かな締結実績
    累計300人以上の締結実績、信託財産150億円以上
  • 広範な実務経験
    31都道府県、67カ所の公証役場で信託契約を締結(2024年7月9日現在)
  • 高い情報発信力
    著書5冊(累計5万部)、NHK「クローズアップ現代+」などメディア出演多数
  • 活発な啓蒙活動
    セミナー実績300回以上 累計1万人以上視聴

不透明な介護・相続の問題が
解決するように、
あなたに寄り添いながら
シンプルでわかりやすい
家族信託を設計します。

お気軽にご相談ください。

\ お問い合わせもこちらから/

  • 親子それぞれ1回ずつ、計2回まで無料でご相談いただけます。
  • オンライン相談に加え、ご希望に応じて出張相談も承ります。
    (交通費は別途ご負担いただきます)